昭和青春読書私史

エッセイ

30数年前に読んだ本の再読。現在は品切れ状態で入手するのは古書で購入するしかない。定価が480円と時代を感じさせる。この頃、岩波新書を一月に何冊も買って読んでいた。最近は新書を買うことが少なくなった。新書が乱立し、刊行点数が増えた割に読みたいものが少なくなった。これだけ増えると毎月刊行される新書をチェックするのは疲れる。岩波新書も毎月4~5冊刊行するようになってからは読みたいものが減ってしまった。

本書で紹介されている本で、その後読んだのは『墨東綺譚』とツルゲーネフ『父と子』くらいで、『モンテ・クリスト伯』は読んでみようと思ったがまだ読んでいない。島木健作、水上瀧太郎、川端康成や田山花袋は当初から読む気が起きなかった。それはいまでも変わらず、『雪国』を読むことは一生ないだろうと思う。本書を読んでいて、読む本は時代に影響されることが大きいと思った。昭和10年代に『西部戦線異状なし』は発禁となっており、著者が『西部戦線異状なし』を古書店でたまたま見つけて購入し、一気に読んでしまう件は今では想像しにくい。何でも手に入る時代に、何をを読むかというのは結構難しいと思った。それは自分自身の問題なのだけれども。

 人生での人と人とのめぐり逢いが、不可解で不思議に充ちているとまったく同様、本とのめぐり会いもまた、ただ偶然とはいい切れない、不可思議な因縁のごときものに繋がれているらしい。そして、この不可思議そのものが、私たちの生涯を、かなり決定的に支配することになる。書を読むとは、たぶん、そういうことなのだろう。

著者 : 安田武
出版社 : 岩波書店
発売日 : 1985/10/21
新書 : 192頁(岩波新書)
定価 : 本体480円

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